感じたこと


内容


引用メモ


カメラから視覚イメージを得ることはできる。しかし私たちが対象について知っているのは、視覚イメージだけではない。触覚も、食べ物なら味覚も、対象のふるまい方や行動パターンも知っている。このような身体に根差した(接地した) 経験がないとき、人工知能は○○を「知っている」と言えるのだろう

オレンジ色のハイライト | 位置: 185 オノマトペの特徴としてすぐに思いつくのは、繰り返しの語形である。重複形と呼ばれる。「ぐつぐつ」「ブラブラ」「キラキラ」「ホカホカ」「ポンポン」など、重複形のオノマトペはいくらでも挙げることができる。また、重複形のオノマトペは他言語にも多く、バスク語で「グルカグルカ」といえば「ゴクゴク」を、南米のパスタサ・ケチュア語で「アキアキアキアキアキ」といえば、「ユラユラ」に似た前後の揺れを表す。しかし、「なよっ」「べちょっ」、さらに西アフリカのエウェ語で「ザラザラ」を表す「ツァクリー」は繰り返されていない。「オノマトペ゠重複形のことば」というわけではないよう

青色のハイライト | 位置: 370  清濁の音象徴は、ポケモン(ポケットモンスター) の名前研究でも報告されている。体長の長いポケモンや体重の重いポケモンに濁音が多いほか、進化が進むにつれて名前に濁音を持ちやすくなることがわかっている。たとえば、「ヒトカゲ」というポケモンは進化すると「リザード」に名前を変える。濁音が一つから二つに増えている。濁音と大きさ、重さ、強さの関係は、まさに「ゴロゴロ」で見た音象徴で

青色のハイライト | 位置: 486 に、絵や絵文字は必ずしもシンプルでなくてよい。点や線を描き足したり色を工夫したりすることで描写を精密にすることが可能である。一方、言語であるオノマトペや手話の単語は、ある程度シンプルでなくてはならない。複雑すぎる単語は覚えられないし、長ったらしい表現は円滑なコミュニケーションの妨げになる。シンプルでなくてはならないがゆえに、オノマトペや手話がアイコン的に写し取れるのは、音や動きなど物事の一部分であっ

青色のハイライト | 位置: 549 オノマトペは外界の感覚情報を音でアイコン的に表現するが、そのとき、脳はその音を、環境音と言語音として二重処理するのである。この二重性は、脳がオノマトペを言語記号として認識すると同時に、ジェスチャーのような、言語記号ではないアイコン的要素としても認識していることを示唆している。オノマトペは環境音というアナログな非言語の音の処理とデジタルな言語の音処理をつなぐことばであるとも言える。その意味で、オノマトペは環境音と言語の両方の側面を持つことばであると言えよ

オレンジ色のハイライト | 位置: 897 言語に多義語が多いのには理由がある。すべての意味について異なる形式が存在していたらどうだろう? 意味の数だけ形式を覚えなければならないことになる。たとえば、コーヒーの濃さを表すのに、すでに〈強い〉という意味で用いているstrongという形式が使えない。したがって、たとえばnampyのような新しい単語が必要になる。つまり、英語話者は新たな別の形式を覚えなければならないことになり、非常に効率が

オレンジ色のハイライト | 位置: 1,021 ホケットは、言語の形式と意味の間の関係は恣意的(必然性がない) であり、それが言語を言語たらしめているとした。たしかにことばは一般に、その形式と意味の関係に必然性がない。日本語で「イヌ」と呼ぶ動物は、英語では「ドッグdog」、フランス語では「シヤンchien」、中国語では「 狗 gǒu」と、まったく違う音形で呼ばれている。日本語の「食べる」に相当する動詞も、英語では「イートeat」、フランス語では「マンジェmanger」、中国語では「 吃 chī」とやはり音形がバラバラで

オレンジ色のハイライト | 位置: 1,083 本章では、広く論じられている言語の十大原則──コミュニケーション機能、意味性、超越性、継承性、習得可能性、生産性、経済性、離散性、恣意性、二重性──をオノマトペが満たしているかどうかという観点から、「オノマトペは言語か」という問いを考え

オレンジ色のハイライト | 位置: 1,111 言語の進化においても、今を生きる子どもの言語の習得においても、オノマトペは、言語が身体から発しながら身体を離れた抽象的な記号の体系へと進化・成長するつなぎの役割を果たすのではないか(図