2025年3月4日、地球に帰還できる宇宙機を開発する株式会社ElevationSpaceは、ドイツに本社を置くロケット打ち上げ会社であるIsar Aerospace(イーザーエアロスペース)とロケット打ち上げ契約を締結し、同社の初号機「あおば」の軌道投入を目指すことを発表した。
Isar Aerospaceが開発するロケット「Spectrum」は、3月27日以降に最初のテストフライトが実施される予定となっている。
本記事では、Spectrumの特徴や、ElevationSpaceがIsar Aerospaceと打ち上げ契約を締結した背景についてご紹介する。
ElevationSpaceは、2021年に設立された東北大学発の宇宙スタートアップである。
昨年には日本青年会議所が主催する「第38回JCI JAPAN TOYP 2024(青年版国民栄誉賞)」で代表取締役CEOの小林 稜平 氏が準グランプリ(総務大臣賞)を受賞、今年は経済産業省が運営するスタートアップ企業の育成支援プログラム「J-Startup」の第5次選定企業に選出されるなど、近年注目を集めている企業だ。
その理由の一つは、同社の開発するサービス「ELS-R」にあるだろう。
ElevationSpaceが開発する「ELS-R」は、国際宇宙ステーション(ISS)が提供する機能の一部を代替することができるサービスだ。
ISSはこれまで、基礎科学的な実験から産業利用まで幅広く利用されてきた。
宇宙での実験環境は、新薬の開発、骨・筋量の低下のメカニズムに関する知見の獲得、新素材の開発や、地上の商品のブランディングなど様々な分野において重要な役割を果たしている。
しかし、そこには課題も存在する。ISSだけでは宇宙実験等が可能なスペースや実験を行う宇宙飛行士のスケジュールに制限があるため、実験機会が限られ、プロジェクトの開始から終了まで長期間にわたる可能性がある。
また、ISSは構造寿命などの関係から2030年末に運用を終了することが決定しており、宇宙環境利用の場の継続的な確保が必要だ。
これらの課題を解決し得るのが、ElevationSpaceが開発する宇宙環境利用プラットフォーム「ELS-R」である。
「ELS-R」は、無重力環境を生かした実験や実証を無人の小型衛星で行い、それを地球に帰還させて顧客のもとに返す国内初のサービス。ISSの代わりを担う「ポストISS」として期待されている。
https://www.youtube.com/watch?v=_2m_GXSDvdI&feature=youtu.be
「ELS-R」の初号機「あおば」を打ち上げるのは、2018年にドイツ・ミュンヘン近郊にて設立された宇宙ベンチャーIsar Aerospace。